自然と人が共存し、日本の心が息づく地。三重を訪ねて

自然と人が共存し、日本の心が息づく地。三重を訪ねて

2021年12月27日

The KANSAI Guide

日本人の心のふるさと、伊勢神宮が鎮座する三重県。
古くは“一生に一度はお伊勢参り”といわれるなど、人びとにとって旅の聖地であり憧れの地でもありました。
往時の人の往来によって発展した工芸や芸能などの伝統文化が地域に根ざし、また、かつて朝廷に食料を献上していた「御食国」としての食の豊かさは今も変わることなく続いています。
豊かな自然と人びとの営みによって育まれた、三重県の文化を体験する旅は、日本の心を改めて感じる機会となるはずです。

組子の名工に習う体験を通じて、伝統工芸の技と粋を知る

内閣総理大臣賞を受賞した経歴ももつ組子の名工、黒田裕次さん

内閣総理大臣賞を受賞した経歴ももつ組子の名工、黒田裕次さん

繊細で緻密な指使いで組み上げる匠の技。思わずため息が漏れる

繊細で緻密な指使いで組み上げる匠の技。思わずため息が漏れる

三重県を巡る旅のスタートは、四日市市のお隣、菰野町。日本国内のみならず広く世界からも注目を集める組子の工房、指勘建具工芸を訪ねます。組子とは、釘を使わず細く小さい木片を組み合わせて緻密な幾何学紋様を作り出す木工の伝統技法。創業80余年の指勘建具工芸では、三代目の黒田裕次さんが伝統を重んじつつ時代と調和した組子建具を手がけています。
技に関する話題もそこそこに、山や木など自然環境の大切さ、伝統継承に対する熱い想いを語りながら巧みに組子を仕上げていく黒田さん。その姿は、経歴や実績を超越した職人としての威厳にあふれています。
そんな名工の指導を受け、コースター作りを体験。自分の手で仕上げた組子の作品は、貴重なお土産となりました。

松阪牛の本場で、名店ならではのすき焼きを味わう

古い町並みの中でひと際目を引く、重厚な日本建築の佇まい

古い町並みの中でひと際目を引く、重厚な日本建築の佇まい

最上級の松阪牛を最良の調理で仕上げる、名店ならではのすき焼き

最上級の松阪牛を最良の調理で仕上げる、名店ならではのすき焼き

名工のお話と体験に集中したからか、腹の虫が騒ぎ始めそうな気配。桑名を後に松阪へ移動し、昼食をいただきます。松阪といえば、世界に誇るブランド牛、松阪牛の本場。そんな地で訪ねるのは、城下町に残る古い町並みに佇む創業120年の老舗名店、牛銀本店です。
昭和初期の建物で重厚な日本建築の玄関では、専属の仲居さんがお出迎え。個室へ通されお茶で一服した後、美しくサシの入った松阪牛が運ばれてきます。いただくのは、押しも押されもせぬ名物、松阪牛のすき焼きです。
仲居さんが手際よく調理を進め、絶妙のタイミングで小皿に取り分けられたお肉を口に運べば、瞬時に口福が到来。最上級の松阪牛を、創業以来受け継ぐ焼き方と味付けで仕上げたすき焼きは、絶品というほかありません。

皇族ゆかりの貴賓館を借り切って、伊勢大神楽をプライベート鑑賞

国指定重要無形民俗文化財、伊勢大神楽講社 山本勘太夫社中

国指定重要無形民俗文化財、伊勢大神楽講社 山本勘太夫社中

高貴な空間に笛と太鼓の囃子が響き、大神楽の演舞が目の前に迫る

高貴な空間に笛と太鼓の囃子が響き、大神楽の演舞が目の前に迫る

口福のひと時を過ごした後は、いよいよツアーのメインとなる特別文化体験です。伊勢神宮のお膝元である伊勢市へ移動し、白砂青松の美しい風景が広がる景勝地、二見浦に到着。伊勢神宮に参拝する皇族や各界要人のために建てられた貴賓館、賓日館を訪ねます。
日本建築の粋を極めた豪奢な空間に見惚れていると、羽織袴に身を包んだ一行が登場。国の重要無形民俗文化財に指定されている伊勢大神楽講社のひとつ、山本勘太夫社中です。
まずは、館外の玄関先で放下芸と呼ばれる剣などを用いたダイナミックな演目を鑑賞。その後、大広間へと場所を移し、獅子舞の演舞などを含めた代表的な演目が繰り広げられます。合間には、勘太夫師から伊勢大神楽のルーツや意義などに関するお話も。見て、聞いて、体感して、450年にわたって続く伝統芸能の本質に触れる貴重な機会となりました。

英虞湾の絶景を望むラグジュアリーリゾートで、和みと癒しのステイ

ゲストルームから望む英虞湾の景色。とりわけ夕景は息をのむ美しさ

ゲストルームから望む英虞湾の景色。とりわけ夕景は息をのむ美しさ

屋外温浴施設サーマル・スプリングは、水着で利用できる

屋外温浴施設サーマル・スプリングは、水着で利用できる

目の前で繰り広げられた伊勢大神楽の余韻に浸りつつ、二見浦を離れ三重県中東部の志摩半島へ。伊勢志摩国立公園内の豊かな自然に囲まれたラグジュアリーリゾート、アマネムにチェックインします。
田中紀子総支配人の出迎えを受け、スイート仕様のゲストルームへ入ると、大きく取られた窓の向こうには英虞湾の絶景。しばらく無心で眺めていたくなる美しさです。古民家など日本の伝統的な美意識にインスパイアされた空間も、初めてなのに懐かしさを感じるような居心地の良さ。身も心も和んでいくのを実感します。
ひと息ついた後の夕暮れ時には、天然温泉水を利用した屋外温浴施設サーマル・スプリングでリラックス。旅の疲れを解きほぐした後、地元の山海の幸がふんだんに盛り込まれたディナーに舌鼓を打ち、癒しのひと時を満喫したのでした。

海女さんの話と人柄、新鮮な海の幸に魅了されるランチタイム

気さくな海女さんから聞くお話も、貴重な旅の思い出に

気さくな海女さんから聞くお話も、貴重な旅の思い出に

伊勢海老、サザエ、桧扇貝など、伊勢志摩産の新鮮魚介

伊勢海老、サザエ、桧扇貝など、伊勢志摩産の新鮮魚介

和みと癒しのステイを存分に満喫し、一夜明けて旅は二日目。チェックアウトまでゆったりと朝の時間を過ごし、一路志摩半島の最奥部を目指します。
到着したのは、素潜りで漁をする海女さんが食事や休憩などで利用する、海女小屋と呼ばれる建物を模した施設です。白い磯着に身を包んだ海女さんの出迎えを受けて小屋に入れば、パチパチと炭火が音を立て、地元の海で獲れた新鮮な海の幸がカゴに盛られています。
炭火を囲んで席に着くと、海女さんがサザエや伊勢海老を網の上に。芳ばしい香りが立ち込めるなか、海女さんが話してくれる漁のエピソードや海での想い出などに興味津々。焼き上がった海の幸は、素材そのものの美味しさはもちろん、海女さんの温かい心も感じられる豊かな味わいです。

日本人の心のふるさと、伊勢神宮で特別な参拝

神聖な空気を感じながら御正宮への石段を上り、御正宮での特別な参拝へ
写真提供:神宮司庁

神聖な空気を感じながら御正宮への石段を上り、御正宮での特別な参拝へ
写真提供:神宮司庁

舞女の奉仕による「倭舞」の奉納
写真提供:神宮司庁

舞女の奉仕による「倭舞」の奉納
写真提供:神宮司庁

海女小屋体験で、三重の海の文化と食を満喫。正装の身支度を整えて向かうのは、創祀以来2000年もの歴史をもち“日本人の心のふるさと”と称される聖地、伊勢神宮です。最も丁寧な祈願の方法である「御神楽」を神楽殿で奉納し、御正宮での特別な参拝で、御祭神として鎮座される天照大御神にご挨拶と感謝、祈りを捧げます。
神宮境内を歩くだけでも感じられる空気の神聖さが、御正宮ではより一層高まり身も心も洗われた気分に。神の存在と御神徳を、確かに感じられるのです。
ご参拝後、五十鈴川のほとりに立つ大鳥居で一礼して境内を離れ、街道沿いに数多くの店が軒を連ねるおはらい町やおかげ横丁を散策します。食べ歩きやお土産探しも、お伊勢参りの醍醐味です。

養殖真珠発祥地で、見て触れて真珠の魅力を体感

真珠博物館のコレクションを特別に試着して撮影できる、ロイヤルな時間も

真珠博物館のコレクションを特別に試着して撮影できる、ロイヤルな時間も

PEARL SHOPでは、ここでしか手に入らない限定品も販売

PEARL SHOPでは、ここでしか手に入らない限定品も販売

時が経つのは早いもので、三重県を巡る旅も大詰め。最終の目的地を残すのみとなりました。
特別参拝で授かった御神徳を身と心に留め、旅の締めくくりに訪れるのは、鳥羽湾に浮かぶ小さな島、ミキモト真珠島。地元鳥羽出身の実業家、御木本幸吉が世界で初めて真珠の養殖を成功させた、養殖真珠発祥の地です。
まずは、真珠博物館を見学。真珠養殖の工程や歴史などを学ぶと真珠が一層愛おしくなってきます。プライベートルームでは、真珠博物館の館長から真珠をあしらった王冠など貴重なコレクションについてのお話を聞きながら特別に試着し、ロイヤルな気分で記念撮影。PEARL SHOPでのショッピングも楽しんで島を離れる頃には、すっかり真珠の虜になっていたのでした。
工芸や芸能の技と粋、古の聖地に流れる神気、山海の恵みあふれる豊かな食、ラグジュアリーステイの癒しを通じて、多彩な魅力を体感した三重県の旅。古くから旅の聖地として人びとの憧れを集めた理由が、深く理解できました。

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