コラム

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    精神編


    日本の城

    日本の城に入るのは、私にとって常に厳粛な瞬間です。城の美しさは、歴史的な物語性と景観の両方が組み合わさる事で生み出されます。私を常に魅了するのはその威厳ある迷宮のような城の存在そのものです。私が旅をする際にこの事は非常に意味があり、そして何処に旅をするかの決め手でもあります。



    城は都市の象徴であり、その心と魂であると言えます。確かに歴史的には都市を守ために建築されましたが、現在では城の存在自体がその地域住民の誇りとして存在しています。次の世代にしっかりと引き継ぐべき必要があります。建築当時の構造と同じ工法で復元する事は難しいかもしれませんが、この事は私たちの社会にとって重要な課題だといえます。

    もともとは将軍や大名を守るために、可能な限り難攻不落な建築物として建造する事を意図して作られた城の数々は、侵入者を防ぐための道や、通行不能な壁や囲い、堀、城門、防御砲塔、不規則な階段のある階段、行き止まり、など多くの隠れた罠があります。丘の上に高くそびえ立ち街を支配するために建てられた要塞は、敵の軍隊を感動させたり、その力を誇示したりするため、周囲の遮るもののない景色の中で美しく浮き彫りとなる構造で建築されました。今日では、幸い全ての道には案内板があり、桜、カエデ、松の木の植生を通り抜け、罠には掛からずに天守閣まで登る事ができます。


    姫路城

    日本で最も美しい代表的な城です。有名な姫路は言うまでもなく、雄大な真っ白な要塞は、最も古く、最も保存状態の良い中世の建造物の1つで必見です。実際、数多くの映画撮影でも取り上げられています。


    二条城

    歴史ある京都で長く将軍の本拠地であった二条城。この城は平城です。鶯張りの床という、歩くと軋む音の出る床が張り巡らされており、中を歩くとナイチンゲールの歌に似た音を発し、侵入者や暗殺者が忍び込むことができない構造になっています。素晴らしい室内装飾が施され、奥に進むほどに豪華絢爛になってゆきます。


    彦根城

    琵琶湖のほとりにある彦根城。その華麗な城は旅で訪れる価値に溢れています。独特の素晴らしい建築様式を現代に伝え、姫路城と同様に国宝として分類される数少ない城です。


    武士道

    日本の城が時を経てなお見事に存在感を放つことと同様に、まさに将軍や大名に支え、命をかけて国を守り抜いた武士とその教えである武士道は日本の精神文化として誇るべきものがあります。150年以上前に日本が近代化する際、武家社会は廃止されましたが、武士道は現代にも継承されています。



    この「武士の生き様」は人徳の心を矜恃に、忍耐をもって修養し、禅の教えに強く影響を受け、祖国や天皇への敬意、神道の価値観を備えた道徳的な規範です。剣道や居合道など、数多くの武道が武士道の教えとして発展しました。居合道の無外流である武田鵬玉師範による剣舞に参加したことは生涯忘れられない経験でした。彼の鋭い視線は彼の技の絶対的な自信の現れでした。彼は強いオーラを尊厳と共に放ちます。藁俵を立て、居合術の準備が出来ました。彼は小さく一歩を踏み出し、己の世界に没入します。集中力を極限まで高め、それから、ほんの一瞬の間に、刀を引き、1回、次に2回目と刀で藁俵を切ります。動きの速度と精度は想像を絶するものでした。最初はゆっくりとした動作で、刀を鞘から抜いた瞬間に非常に速い刀捌きで、瞬く間に刀を鞘に納めます。まさにそのコントラストは息を呑むほどでした。居合道の伝統を永続させるために、武士の魂が現代に息づいていることを私は確信しました。


    日本刀の鍛錬

    日本刀は世界的に非常に高い評価を得ています。日本刀を知る誰もがその抜群の切れ味に感嘆します。高音の日本式の炉の中で玉鋼から日本刀が出来上がります。奈良県南部の天理にある布都正崇鍛刀場を訪れると、日本刀の鍛錬にかかる工程の作業負荷を想像することができます。炎から発せられる高温の熱の中で、職人は鋼の金槌を何度も叩き不純物を取り除き、硬い玉鋼を柔らくし、何層にも重ねながら日本刀の元となる鋼を作ります。



    包丁の鍛造包丁

    包丁に関して言えば、日本は間違いなく世界最高峰の技術を持っています。特に堺市はその象徴となる都市です。堺の街は包丁の鍛造やものづくりの技術において日本の中心地です。数多くの伝統的な鍛冶場が至る所に存在します。あらゆる包丁が展示されている堺市伝統工芸博物館にて、堺市が生産するあらゆる種類の包丁とそれを支える技術やノウハウを鑑賞することができます。


    執筆者 アンジェロ・ディジェノバ

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