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3日で巡る関西・四国の旅:  
大阪城から徳島の阿波おどりまで

3日で巡る関西・四国の旅:
大阪城から徳島の阿波おどりまで

最終更新

関西を訪れるということは、大阪や京都といった有名都市を巡ることだけを意味するわけではありません。街の灯りを離れ、橋やフェリーを使えば、より静かで穏やかな日本の一面に出会うことができます。
この3日間の行程では、関西の情緒あふれる名所をめぐります。

大阪城に息づく武士の伝統、時を超える有馬温泉、神話の美しさをたたえる淡路島、活気あふれる徳島の阿波おどり、そして海辺の静けさに包まれた和歌山。
旅の締めくくりは、茶の湯と職人文化が今も息づく堺の街です。

1日目:大阪城から有馬温泉、そして淡路島へ

大阪城 ― 武士の歴史を垣間見る(大阪府大阪市)

旅の始まりは、日本でも屈指の活気あふれる都市・大阪から。そして、そのスタート地点として大阪城ほどふさわしい場所はありません。大阪城は、かつて日本の戦国時代において「力」と「統一」の象徴であった名所です。

16世紀後半、戦国武将・豊臣秀吉によって築かれたこの城は、巨大な石垣と金箔の装飾によって、味方にも敵にも強い印象を与えるよう設計されました。

石の中には高さ3メートルを超えるものもあり、それらは 瀬戸内海を越えて運ばれ、なんとモルタルを使わずに驚くほどの精度で積み上げられています。

天守閣には展示 があり、武士の暮らしや大阪の発展の歩みを知ることができます。展望台からは、現代の大阪の街並みを一望することができます。
城を囲む大阪城公園は、春や秋になると色鮮やかに彩られます。桜や紅葉の下に人々が集い、穏やかな時間を過ごす光景は、かつての強大な武士の要塞だった頃とは対照的です。

有馬温泉 ― 日本最古の温泉街(兵庫県神戸市)

大阪のにぎわいを離れ、六甲山地を登っていくと、1300年以上の歴史を持つ日本最古の
温泉地のひとつ、有馬温泉にたどり着きます。

古くから天皇や僧侶、旅人たちに愛されてきた有馬の湯は、奇跡的な癒やしの効能があると
いわれてきました。大阪城から日本を統べた戦国武将・豊臣秀吉もまた有馬の湯をこよなく
愛し、しばしば訪れるだけでなく、1596年の地震の後には自ら資金を出して温泉街の再建を
支援しました。

有馬には二つの名泉があり、それぞれ異なる魅力を楽しめます。鉄分と塩分を豊富に含む
金色の湯「金の湯」、そして炭酸を含んだ透明な湯で肌をなめらかにする銀色の湯「銀の湯」
です。

湯本坂通り沿いでは、湯けむりが小さな食事処やカフェから立ち上ります。

地元の名物「炭酸 せんべい」もお見逃しなく。有馬の天然の炭酸水で作られた軽やかな食感の菓子で、素朴ながら一度食べたら忘れられない味です。

昼食:おだしとおやさい翠(兵庫県神戸市)

ここ有馬でのご昼食は、「おだしとおやさい翠」でいかがでしょうか。

せいろごはんランチ

  • みつせ鶏そぼろと卵のせいろごはん
  • 季節のおやさいのおばんざい小鉢3種
  • しっかりおだしの豚汁

甘辛だれで味付けしたみつせ鶏のそぼろと、おだしの効いた卵の組み合わせ。
季節のおやさいのおばんざいと、豚汁で心も体もホッコリして頂けます。

禅坊靖寧(兵庫県淡路市)

世界最長級の吊り橋・明石海峡大橋を渡ると、神話の中で伊弉諾(いざなぎ)と伊弉冉(いざなみ)の二神によって最初に生み出されたとされる島、淡路島にたどり着きます。

今もなお淡路島は、神話と現代のあわいに浮かぶ場所のように感じられます。澄みわたる水平線、清らかな海風、そして静かな心の余白が広がる場所です。

島の丘陵に佇む「禅坊靖寧」は、瞑想やヨガ、地元の野菜や海塩を使った滋味深い菜食料理を通して、心と体の歩みをゆるめることのできるミニマルなリトリートです。

島の自然と創造のエネルギーに包まれながら、穏やかに1日を締めくくることができます。

2日目:徳島の城下町と阿波おどりの心

徳島中央公園(徳島県徳島市)

朝になると、車で橋を渡り、四国の徳島県へ向かいます。最初の目的地は、1586年に豊臣秀吉の忠臣・蜂須賀家政によって修築された徳島城跡がある徳島中央公園です。天守は失われてしまいましたが、徳島中央 公園からは美しい景観を望むことができ、当時の石垣の名残も見ることができます。

市街地は吉野川の方へと広がり、その水路はかつて藍や木材などの物資を運び、徳島の繁栄を支えてきました。

地元の人々は、城下町としてのこの歴史を誇りにしています。その誇りは今も受け継がれており、伝統的な食や工芸、踊りを大切に守り続ける人々の姿に息づいています。

いのたに本店 ― 徳島ラーメン(徳島県徳島市)

昼食には、地元の人々に倣って「いのたに本店」へ。ここは徳島ラーメンの名店として知られています。

濃厚な豚骨醤油スープに、味のしみた豚肉のスライス、そして生卵のトッピングが溶け合い、まろやかで心落ち着く味わいを生み出します。

店内はカウンター席のシンプルな造りですが、漂うスープの香りとともに、その味は多くの常連客を惹きつけてやみません。

和田乃屋 本店 ― 眉山の麓にある 老舗和菓子店(徳島県徳島市)

昼食のあとは、少し歩いて「和田乃屋 本店」へ。
ここは何代にもわたって旅人をもてなしてきた老舗の茶店です。看板商品である「滝の焼餅」は、今から400年以上前、徳島城の築城を祝って作られたことに始まります。

軽く焼き上げられた餅は、やさしい甘さが口に広がり、点てたばかりの抹茶との相性も抜群です。

春は桜、秋は紅葉、冬は黄花亜麻、可憐な花はモラエスさんからの贈り物、四季折々を楽しむことができます 。畳の間に腰を下ろし、苔とモミジの庭を眺めながら過ごすひとときは、まさに徳島らしい静寂の時間です。

阿波おどり会館 ― 歴史と踊る(徳島県徳島市)

午後は、徳島が誇る伝統の踊り「阿波おどり」を一年中楽しめる「阿波おどり会館」へ。
ステージでは、8月12日から15日にかけて行われる本祭さながらの熱気あふれる演舞を披露します。
色鮮やかな浴衣、太鼓や笛の音、そして「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損損!」という掛け声が会場を包みます。

最後には観客も一緒に踊りに参加でき、何百年も受け継がれてきた阿波おどりの簡単なステップを体験できます。
意外といい運動にもなり、地元の人たちは毎年の阿波おどり本番に向けて、数か月前から練習を始めるのだとか。

何より心に残るのは、たとえ一曲の間だけでも、自分がこの地域の一員として迎え入れられたように感じる―そんな貴重な体験です。

徳島-和歌山フェリー ― 黄金の海を渡って(徳島ー和歌山)

夕日が沈むころ、徳島-和歌山フェリーに乗り込み、紀伊水道を金色に染めながら滑るように進みます。

デッキに立てば、潮の香りを含んだ風を感じ、四国の島影がゆっくりとシルエットになっていくのを眺めることができます。

和歌の浦温泉 萬波 MANPAリゾート(和歌山県和歌山市)

和歌山に到着したら、古の歌人たちにも愛された湾を望む海辺の旅館「和歌浦温泉 萬波 MANPAリゾート」に宿泊します。
すべての客室が海に面しており、朝になるとその海はまるで沖縄にも劣らないほど鮮やかなターコイズブルーに輝きます。

星空の下で露天風呂に浸かり、やさしい波の音とともに目覚める―そんな至福の時間を過ごせます。

3日目:和歌山城から堺の茶と工芸の伝統へ

和歌山城 ― 紀州徳川家の居城(和歌山県和歌山市)

旅の最終日は、16世紀に築かれ、徳川御三家のひとつ・紀州徳川家の居城として栄えた和歌山城から始まります。

豊臣秀吉の弟・豊臣秀長によって築かれたこの城は、後に徳川家の重要な拠点となり、西国の海を守るとともに、和歌山と大阪を結ぶ要路を見張る戦略的な城として機能しました。

天守閣は、第二次世界大戦で焼失しましたが、1958年に精巧に復元されました。 天守閣からは和歌山市街や太平洋の海岸線を一望でき、北の大阪城や海を隔てた徳島城とどのように連携していたのかを想像することができます。
城のふもとには、西之丸庭園があります。江戸時代初期に造られた庭園で、紀州特産の美しい青石がふんだんに用いられています。

国の名勝にも指定されている西之丸庭園は、秋には紅葉が美しく色づくことで知られています。また、城内は、春には梅や桜が咲き誇ることで知られています。

わかやま歴史館(和歌山県和歌山市)

丘のふもとにあるわかやま歴史館は小規模ながら見ごたえのある施設で、城とその周囲に発展した町の歴史をたどることができます。
館内には、和歌山城や紀州藩に関する資料などが展示され、当時の面影を今に伝えています。

堺 ― 茶の湯と職人文化とであう街(大阪府堺市)

大阪方面へ北上し、旅の終着点は堺へ。この港町は16世紀、日本の国際貿易と職人文化の中心地として栄えました。
また、茶の湯(茶道)の発祥地としても知られ、侘び寂びの美学―質素さと不完全さの中に美を見いだす思想―を確立した茶人・千利休の故郷でもあります。

さかい利晶の杜 ― 茶の文化の源流(大阪府堺市)

ここでは、茶の湯の歴史や和歌、そして中世の堺の暮らしを紹介する体験型展示を楽しむことができます。
館内のパノラマ展示では、戦災で多くを失う前の堺の街並みを再現しており、商人や職人が共に栄えていた当時の様子を垣間見ることができます。

また、併設の茶室では、抹茶の点て方を学びながら、季節の和菓子とともにお茶を味わう体験もできます。

誰でも気軽に参加できる体験ながら、日本で茶が「心を整え、人を敬う哲学」として受け継がれてきたことを、深く感じられるひとときです。

堺伝匠館 ― 刃物の芸術(大阪府堺市)

堺の名声は茶の湯だけにとどまりません。優れた鍛冶技術が根付く堺では、16 世紀にポルトガルからタバコが伝わったことで、タバコの葉を切る「タバコ包丁」の製造が始まりました。切れ味の良い堺製のタバコ包丁は幕府に「堺極」の印を認められ、全国に名が広まり、堺打刃物発展の礎となりました。

堺伝匠館では、堺の刃物の歴史や製造方法等の展示のほか、実演・体験イベントも実施しており、堺打刃物の 600 年以上にわたる伝統と魅力を体感することができます。
現在、全国の料理人の多くが堺製の包丁を使用しており、その品質が高く評価されています。包丁の種類は豊富にあり、刺身包丁や菜切包丁など、それぞれ特定の用途に合わせて作られています。

その伝統に新たな風を吹き込む一人が、フランス出身のエリック・シュヴァリエ氏です。彼は堺で鍛冶の修行を積み、現在は日本の職人と世界中のシェフをつなぐ架け橋として活躍。堺のものづくりの精神が、伝統を大切にしながら進化し続けるよう尽力しています。

まとめ

大阪、和歌山、徳島、堺をめぐるこの3日間の旅は、日本をゆっくり味わいたい旅人にぴったりです。城下町や温泉地、庭園、工房、海辺の神社まで―どの場所も、日本の日常に触れることができる特別な体験を提供してくれます。

もしこのような旅に心惹かれるなら、「関西の城たび」シリーズの他のルートもぜひチェックしてみてください。それぞれの旅が、日本の変わらぬ心を映し出すもう一つの物語を教えてくれます。

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