那智の田楽

那智の田楽

2021年12月26日

The KANSAI Guide

(なちのでんがく)

和歌山県 関西
国指定重要無形民俗文化財、ユネスコ無形文化遺産

600年以上も前に始まった熊野那智大社で行う奉納芸能。 笛に合わせて軽快に踊る様は、田楽が流行した中世を彷彿とさせる。

熊野三山のひとつ、熊野那智大社の例大祭で奉納される「那智の田楽」。およそ600年以上も前に伝わった芸能は中世に京都で流行した「田楽躍」が伝わったものだといわれています。田楽装束を身につけ、笛に合わせて時に優雅に、時にリズミカルに舞い・踊る様子は厳粛かつエネルギッシュな雰囲気に満ちあふれ、見るものを惹きつけて離しません。熊野那智大社のある那智勝浦町には、名湯が湧出する温泉やとれたてのマグロなど、魅力的な観光要素が揃っていますので、ぜひ訪れてみてください。

毎年7月14日、大松明に炎を灯す熊野那智大社の火祭りで執り行う。 京都で流行した田楽躍が起源とされ、約600年にわたり保存・継承されてきた。

躍動感のある舞と赤・黄・青色のあでやかな装束が目を引く。

躍動感のある舞と赤・黄・青色のあでやかな装束が目を引く。

平安時代(794〜1185年)から室町時代(1336〜1573年)にかけて京都で流行した「田楽躍」の特徴を色濃く残す「那智の田楽」。明治元年(1868)に発布された神仏分離令によって踊り手が那智山を離れ、一度は廃絶したものの、大正10年(1921)、およそ50年の時を経て、かつて田楽を演じた人たちとともに田楽を復興させ、奉納が再開されました。現在は熊野那智大社と地元住民らが中心となる保存会が忠実に受け継いでいます。
「那智の田楽」は毎年7月14日、熊野那智大社の例大祭「那智の扇祭り」で奉納されます。この例大祭は重さ50kgを超える12本の大松明に炎を灯し、白装束の氏子たちが参道を払い清める様子から別名「那智の火祭り」(なちのひまつり)とも呼ばれており、ご利益を授かろうと国内外から多くの参拝者が訪れます。

笛に合わせてびんざさら・太鼓を打って舞う、12人の演者が織りなす無形文化遺産。 田楽の源流の魅力である細やかな仕草・振る舞いに注目。

熊野那智大社と地元住民らが中心となる保存会が、「那智の田楽」を忠実に受け継ぐ。

熊野那智大社と地元住民らが中心となる保存会が、「那智の田楽」を忠実に受け継ぐ。

「那智の田楽」を演じるのは計12人で、笛や古来の打楽器などを鳴らす演者で編成されています。踊り手が、田楽装束を身につけ、笛に合わせて舞い・踊る様子は厳粛ななかにもエネルギッシュさを感じさせてくれます。演目は「乱声(らんじょう)」「鋸歯(のこぎりば)」「八拍子(やびょうし)」ほか全21曲が伝わっており、各曲に合わせて踊りの陣形を変えていくのが特徴です。また中世の「田楽躍」を伝えている細やかな仕草・振る舞いにも注目してください。
ちなみにこの神事は、1976年に国の重要無形民俗文化財に指定され、その後、2012年にはユネスコの無形文化遺産にも登録されました。

熊野那智大社・熊野本宮大社・熊野速玉大社を結ぶ巡礼の旅。 和歌山県を代表する温泉と、水揚げ日本一を誇る新鮮な生まぐろも堪能しよう。

熊野三山へと続く古道は、清々しい空気に包まれている。

熊野三山へと続く古道は、清々しい空気に包まれている。

海を望む露天風呂がある温泉宿「かつうら御苑」では日帰り入浴も可能。

海を望む露天風呂がある温泉宿「かつうら御苑」では日帰り入浴も可能。

生まぐろの水揚げが日本一を誇る勝浦漁港。那智勝浦町では新鮮な生まぐろを旅館や飲食店、セルフ販売所で手軽にで食べることができる。

生まぐろの水揚げが日本一を誇る勝浦漁港。那智勝浦町では新鮮な生まぐろを旅館や飲食店、セルフ販売所で手軽にで食べることができる。

「那智の田楽」が奉納される熊野那智大社は、紀伊山地の東南部に位置し、中辺路(なかへち)によって熊野本宮大社と熊野速玉大社と結ばれています。これら3社は総称して熊野三山と呼ばれ、平安時代(794〜1185年)中期頃から信仰の対象となり、多くの参拝者が訪れていたそうです。
また3社を含む熊野古道一帯は、2004年にユネスコ世界文化遺産に登録されました。
那智勝浦町は和歌山県下有数の源泉数(177本※2018年3月現在)を誇り、和歌山県を代表する温泉地として知られています。海に面したロケーションでナトリウム塩化物泉の名湯が湧く「南紀勝浦温泉」をはじめ、湖のほとりにあり昔ながらの温泉街の趣を残す「南紀湯川温泉」などがあります。さらに日帰りで気軽に利用できる「天然温泉公衆浴場はまゆ」や、無料で温泉気分を楽しめる足湯「海乃湯」や「鮪乃湯」も評判です。「かつうら御苑」など温泉宿に宿泊して、お湯をじっくりと堪能するのもおすすめです。  

そしてお楽しみのグルメは水揚げ日本一を誇る生まぐろをどうぞ。勝浦漁港のそばには数多くの生まぐろ料理専門店があり、鮮度抜群、とれたての生のまぐろを手頃な価格で味わうことができます。

画像提供:熊野那智大社/©(公社)和歌山観光連盟/©NACKT

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