Premium関西Premium関西

公開日

最終更新日

Premium関西 編集部

庭園や公園を訪ねながら観光を楽しむ、ガーデンツーリズム。鑑賞や散策で庭そのものを愛でると同時に、独自の歴史や文化、食など地域性に触れる旅のスタイルです。そんな旅で訪れたいのが、かつて紀州徳川家の藩領として栄え、歴代藩主が趣向を凝らした名庭が残る和歌山。名庭巡りを通じて、大名文化の栄華と地域の魅力を体感しましょう。

名庭と食に初代藩主の面影を偲ぶ

江戸時代初期、家康公の十男で紀州徳川家の祖・徳川頼宣公によって築かれた、和歌山城西之丸庭園。天守閣がそびえる山の斜面を利用した、豪快でおおらかな庭の造りに、頼宣公の気質が見て取れます。四季折々に異なる風景のなかでも、秋の美しさは格別です。池に浮かぶように立つ鳶魚閣(えんぎょかく)と紅葉が水面に映り込む様子は、息をのむばかりです。
園内の茶室「紅松庵」で、点出しを楽しむのも一興です。また、庭園鑑賞後には、頼宣公が鷹狩の際に立ち寄った紀州徳川家の菩提寺、長保寺で献上された料理を再現した「紀州徳川家献上料理」に舌鼓。初代藩主も食した贅沢な御膳で、殿様気分に浸りつつ和歌山の美食を楽しみましょう。

「紅葉渓庭園」とも称され愛される秋の庭園

「紅葉渓庭園」とも称され愛される秋の庭園

名称
和歌山城西之丸庭園
住所
〒640-8146 和歌山県和歌山市一番丁3
時間
9:00〜17:00
定休日
12月29〜31日
料金
無料
電話
073-435-1044
アクセス
JR和歌山駅・南海和歌山市駅からバス「市役所前」下車、徒歩すぐ
頼宣公に献上された料理を再現した「紀州徳川家献上料理」

頼宣公に献上された料理を再現した「紀州徳川家献上料理」

名称
紀州徳川家献上料理
申し込み
和歌山市観光協会(WEBまたは電話にて受付)
TEL
073-433-8118

「汐入」の池を配した十代藩主別邸の庭園

和歌山城を後にして向かうのは、十代藩主・治宝侯の別邸、水軒御用地の庭園「養翠園」。1818年から9年もの歳月をかけて造営されたという、藩主入魂の庭園です。特徴的なのが、浜離宮恩賜庭園と同様、池に海水を引き入れる「汐入」の様式。潮の干満で水位が変わる池の姿に、時間を忘れて見入ってしまうことでしょう。
芸術に造詣が深く「数奇の殿様」とも称された治宝侯の意気と粋を感じた後は、家康公と頼宣公を御祭神に祀る「紀州東照宮」へ参拝。風光明媚な和歌の浦を望む高台にあり、本殿と拝殿は、左甚五郎作と伝わる精緻な彫刻や狩野探幽作の壁画で飾られ、「関西の日光」と呼ばれるに相応しい華麗さを誇っています。

海水を取り入れた池のため、イナ(ボラの若魚)やハゼなど海と川の境に棲む生物を見ることも

海水を取り入れた池のため、イナ(ボラの若魚)やハゼなど海と川の境に棲む生物を見ることも

名称
養翠園
住所
〒640-8014 和歌山県和歌山市西浜1164
時間
9:00〜17:00(1月1日のみ11:00〜17:00)
定休日
無休
料金
大人(中学生以上)600円、小人(小学生以下)300円
電話番号
073-444-1430
アクセス
JR和歌山駅・南海和歌山市駅から雑賀崎循環バスで「養翠園前」下車、徒歩7分
関西随一といわれる朱塗・極彩色が華麗な紀州東照宮の楼門

関西随一といわれる朱塗・極彩色が華麗な紀州東照宮の楼門

眼前に大海原が広がる絶景庭園

1853年、ペリーの浦賀来航をきっかけに、紀州藩でも海防への取り組みを本格化。その際、海上交通の要衝であった紀伊水道を守るため、遠見番所が設けられました。海に長く突き出た断崖の上には美しい緑の芝生と松林、眼下には真っ青な海。目を上げれば、はるか四国や淡路島をも見晴らす大絶景が視界いっぱいに広がります。
先端付近に設置された撮影ポイントでは、フォトジェニックな風景を心ゆくまで撮影。バーベキュー(番所庭園に要予約)やヨガ(和歌山市観光協会に要予約)などの体験プログラムが用意されているのも、この庭園の特徴です。景色も開放感も抜群なロケーションで、アクティブに庭園を満喫してみてはいかがでしょうか。

紀伊水道を臨み、晴れた日には遠く淡路島や四国まで見渡せる

紀伊水道を臨み、晴れた日には遠く淡路島や四国まで見渡せる

施設名
番所庭園
住所
〒641-0062 和歌山県和歌山市雑賀崎番所ノ鼻
時間
4〜8月9:00〜18:00、9〜3月8:00〜17:00
定休日
無休(荒天時、年末年始は臨時休園)
料金
大人600円、小人300円(未就学児以下無料)
電話番号
073-444-6533
アクセス
JR和歌山駅・南海和歌山市駅から雑賀崎循環バスで40分、「雑賀崎遊園」下車、徒歩15分

歴史と由緒ある根來寺を訪ねて

和歌山市を離れ、岩出市の根來寺と紀の川市の粉河寺へ。根來寺は、高野山で真言密教を修めた覚鑁上人が開いた、新義真言宗の総本山。開山以来、約900年の歴史を誇ります。
境内の名勝庭園は、江戸時代に紀州徳川家から拝領した御殿の廊下から滝石組や池に浮かぶ島を眺められます。
中世の面影を色濃く残す境内には、かつて根來寺で僧が使う什器として作られ、日本三大漆器の一つに名を連ねる根来塗の工房も。根来塗は、使い込むと黒漆が浮かび上がる独特の美しさが特徴。スプーンやお箸などの絵付け体験を通じて、700年以上続く伝統工芸品の魅力に触れてみてください。

春には境内約7000本の桜が咲き誇り、胸を打つ光景が広がる

春には境内約7000本の桜が咲き誇り、胸を打つ光景が広がる

施設名
根來寺名勝庭園
住所
〒649-6202 和歌山県岩出市根来2286
時間
夏期(4〜10月)9:10〜16:30、冬期(11〜3月)9:10〜16:00
定休日
無休
料金
大人(中学生以上)500円、小人無料
電話番号
0736-62-1144
アクセス
JR和泉砂川駅からバス近畿大学経由岩出駅前行きで約16分、「根来寺」下車、徒歩すぐ
伝統工芸の根来塗に触れられる、「初根工房」での絵付け体験

伝統工芸の根来塗に触れられる、「初根工房」での絵付け体験

名称
根来塗工房「初根工房」
申し込み
negoronuri1143@gmail.com
料金
スプーン2,500円〜、お箸3,800円〜

紀州徳川家の篤い庇護を受けた名刹、粉河寺

770年の開創から1,250余年の歴史をもつ粉河寺。五代藩主で江戸幕府八代将軍の吉宗公から寄進された左甚五郎作と伝わる彫刻「野荒らしの虎」や、十代藩主・治宝侯直筆による中門の山号扁額を有するなど、紀州徳川家から篤い庇護を受けた名刹として知られます。国指定名勝の庭園は、紀州産の名石を大胆に組み合わせ、ソテツやサツキを随所に植栽。枯山水をダイナミックに表現した、全国的にも類を見ない様式の石庭です。
そして、粉河寺を訪ねた際には、ご当地ならではの食体験を。紀の川市は、全国屈指のフルーツの産地。旬のフルーツを使った様々な名物グルメがあるなかでも、とりわけユニークなのがフルーツ寿司です。旬の瑞々しいフルーツとお寿司のマリアージュが、初めての感動体験をもたらしてくれます。

ダイナミックな石組は、本堂に通じる階段を挟んで東西に広がる

ダイナミックな石組は、本堂に通じる階段を挟んで東西に広がる

本堂は、西国三十三ヶ所観音霊場で最大級の規模を誇る

本堂は、西国三十三ヶ所観音霊場で最大級の規模を誇る

施設名
粉河寺庭園
住所
〒649-6531 和歌山県紀の川市粉河2787
時間
8:00〜17:00
定休日
無休
料金
拝観料400円(本堂内陣のみ)
電話番号
0736-73-4830
アクセス
JR和歌山線粉河駅から徒歩15分
季節ごとに旬のフルーツを使用した名物「フルーツ寿司」

季節ごとに旬のフルーツを使用した名物「フルーツ寿司」

施設名
力寿し

Facebook
LINE
twitter

UNCOVER A RICH HERITAGE