滋賀の日本酒物語 発酵日本

滋賀の日本酒物語 発酵日本

2020年12月10日

滋賀の日本酒物語_発酵日本

 日本の空港に着くと「漬物の匂いがする」といわれた時期がある。確かに他国に着くと、その国の独特な匂いがするような気がする。美食の国といわれるベルギーは複雑な雰囲気だが、個性的すぎるチーズの匂いに出会ってその印象が鮮烈となった。日本の漬物はやはり他の国から来るとすぐに慣れるというものではないかもしれない。けれども、味わいの魅力を知ってしまうと虜になってしまう人も多いだろう。
 琵琶湖では鮒が捕れることから、鮒寿司という発酵食品が開発された。日本人でもなかなか馴染めないといわれるが、その味は嵌まってしまうと「もう一度」と思うものではないか。日本に限らないかもしれないが、発酵食品が多いのは、保存食の側面がある。そして栄養価の高さもその価値を高めているものだ。「なれ鮓」とも呼ばれる川魚を加工する発酵食品では、琵琶湖周辺では鮒だけでなく、鮠(はや)の仲間の追川やはす、さらには鮎や鯉、琵琶鱒、鰻まで発酵食品へとなっている。

他にも飴煮にしたり、保存食としての多彩な文化が根付いている。川魚は夏場によく獲れるので「土用漬け」ともいうようだ。
 日本酒も当然発酵食品で、ウイスキーやブランデーなどの蒸留酒と違いアミノ酸が豊富で、飲み過ぎなければ健康食品ともいえる。国立ガンセンターの報告では適量ならガン予防にもなるという。発酵文化・日本の面目躍如といったところか。
 【アグレッシブ酒蔵】蔵元 藤居本家
 琵琶湖の東には、日本の東西を繋ぐ「街道」が走っており、百年以上も前には二百件もの蔵元があったという。徐々に集約されてその数は減ったが、そうした中で発酵文化を大事にしつつ酒蔵を営んでいる「藤居本家」があり、訪ねてみた。

現在進行形のものとして「古酒」四十年以上という長期熟成酒もある。

他にも古酒となるタンクも幾つか並んでおり、発酵文化への並々ならぬ意欲を感じる。その高い建物は新しく建てられたものだが、そばには国指定の有形文化財である東蔵(公開:要予約)もあり、周囲からでも見所も充分。
 新しい試みもなされている。近江地方には酒米として「渡船」(わたりぶね)という品種がある。稲の丈が百六十センチを超える「滋賀渡船六号」や「山田錦」の父株「短稈渡船」と云われる「滋賀渡船二号」を使った酒を復活させた。野性味あふれる力強さが自慢の酒だという。滋賀の地酒として風土を大切にする試みは続いている。

日本名門酒会加盟
蔵元 藤居本家
〒529-1303 滋賀県愛知郡愛荘町長野793
見学時間:9:00-18:00
定休日:無し(年末年始は時短あり)
TAX FREE
クレジットカード対応あり
外国語HP(PDF)
交通アクセス
①JR京都駅からJR稲枝駅下車、車で約5分 (所要時間目安:約55分)

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