兵庫の日本酒物語 雲海に浮かぶ「竹田城趾」

兵庫の日本酒物語 雲海に浮かぶ「竹田城趾」

2020年12月10日

兵庫の日本酒物語_雲海に浮かぶ「竹田城趾」

 朝霧が山間の盆地に、雲海のように立ちこめる秋の朝、「天空の城」と呼ばれるような光景を見ることができる城がある。兵庫県の中部、朝来市にその「竹田城跡」がある。山城の眼下には円山川が流れ、水温と気温の差から朝霧が立ちのぼり、それが雲の中に城があるかのように見えることから絶景となった。他にも福井県大野市の越前大野城や岡山県高梁市の備中松山城でも見ることが出来るが、特に有名になったのはこの「竹田城跡」だ。山川と気候が織りなすまたとない景色は日本のマチュピチュとまで言われた。いつも見ることが出来るわけではないから、ますます人気が出ている。この景色を見たい人は、早朝午前四時から対岸にある山に登り、日の出前の景色、そして陽のあたりはじめる光景を目に納めようとするのである。眼下に広がる世界は、いわば日本の自然環境を全身で体感するということになる。日本に四季があるということをそこで実感しているといえるかもしれない。
 気候や環境から生みだされる日本の絶景には、もちろん食べ物にもその光彩を放っている。冬場の産物の一つに「葱」があるが、ここには「岩津ねぎ」という少し長い品種があって、それも特産品にひとつだ。

【マイフェバリット酒蔵】此の友酒造
とはいえ、「日本酒はどんな食べ物にも合う」と豪語する人もいる。そのために様々な試みをする人もいる。全国新酒鑑評会で六年連続金賞を受賞している此の友酒造の当主・木村氏もその一人だ。朝来市のある但馬地方で300余年の歴史をもつ蔵元だけに、地域の水と米を大事に、地域の食べ物にも合った酒造りをしてきた。それは地元の人達に聞けば口をついて出てくる「窓の梅」という銘柄にも表れている。

このリキュールはいわば薬用酒で、「不老長寿」などと「滋養強壮」をもたらす酒を造り出していることも地元愛からなっている。

社名の由来も面白く、当時、主流だった日本酒の銘柄から名付けた「此の友」は中世猿楽の中から出てきた能の演目・謡曲から来ているという。それは『猩々(しょうじょう)』で海に住む怪獣の話で、酒売から買った酒をいくら飲んでも顔色が変わらない者がいて、聞けば「猩々」と応える。そこで酒売は月夜に酒を持って待っていると水中より猩々が現れ、酒を酌み交わし、泉のように湧く酒壷を与えた、という話だ。その猩々は「此の友に逢ふぞうれしき」というので、これを戴いたというのは「此の友」の由来であった。いかにも酒に合った名ではないだろうか。

此の友酒造株式会社(このとも)
〒669-5103 兵庫県朝来市山東町矢名瀬町508
見学時間:月〜金10:00〜15:00
定休日:日曜・祝日、土曜不定休
外国語HP:
HP 上部より言語選択で変更可能です。
交通アクセス
①JR姫路駅から播但線にて和田山駅下車、JR山陰本線に乗り換え、梁瀬駅より徒歩約10分
(所要時間目安:約90分)
車の場合:北近畿豊岡自動車道山東ICより約5分

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