Spiritual KANSAI シリーズブログ10 : 日本酒、その起源を訪ねる1

Spiritual KANSAI シリーズブログ10 : 日本酒、その起源を訪ねる1

2021.2.20

The KANSAI Guide

関西地域は日本の精神文化の聖地であり、正真正銘のおもてなしに溢れる関西。そんな関西を「Spiritual KANSAI」と題して、様々なテーマを抽出しコラムにまとめてみました。本ブログシリーズでは、それらコラムを順に紹介していこうと思います。シリーズ第10弾は、「日本酒、その起源を訪ねる1」をお届けします。(以下文章は本サイトのSpiritual KANSAI コラムページ(https://kansaiguide.jp/rt/column/)より引用しています)

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日本酒、その起源を訪ねる1

日常の何気ない場面で、なぜ一杯の日本酒を注文したり、一升瓶を購入したりするのかを、誰かに合理的に説明しようとしても、説得力のあるこたえを見つけるのは難しいでしょう。別に日本酒を選択することが悪いと言っている訳ではなく - 私は多かれ少なかれ、それを前提に人生を捧げてきたので、例外かもしれないですが -手軽に手に入り易い価格の日本酒が増えている中で益々その答えを探す理由は説明しづらくなってきていると思います。

日本酒の業界は複雑で、長年携わっていても何が何なのかを正確に読み解くのは難しい状態です。また日本酒業界には厄介な課題もあります。それは何世紀にもわたる幅広い文化的な関連性に裏打ちされた製品としての存在、それとも膨大な予算をかけたマーケティングキャンペーンとしての存在、場合によってはその両方に裏打ちされた製品としての存在など、競争の激しいアルコール飲料市場の中で、その「価値」を正当化しようと業界が過去数世代にわたって重ねてきた説明の沼から、それぞれの存在感を切り離すことが難しくなってきているからです。

それはまるで寒さの中で放置されているか、または草むらの奥に埋もれている状態でもあります。まさに日本酒の価値を探究する方法が見つからず、膨大な情報の渦に飲み込まれすぎて、どこに価値があるのかを正確に把握するのが難しい状態だと思えます。日本酒の場合、業界は数多くの情報を提供しようしすぎて、本当はどんな情報を届けることが広く世間に対して重要なのかということが殆ど無視されてきたように感じます。確かに満足感や力を与えてくれる情報はありますが、その情報の価値を測るための意味のあるモノサシがなければ、全ての情報はノイズのようなものです。日本酒文化の文脈そのものへの説明責任を業界が負わないことと裏腹に、逆に熱意のある日本酒ファンや愛好家からは、日本酒作りに関する説明や、飲み方などについて十分すぎるほどの情報が効果的に提供されていますが、その過程でもその本質や意義については殆どの場合が暗闇の中に置き去りにされました。知識が蓄積されているにもかかわらず、実際には日本酒の本質についての説明は迷走状態です。

同時に世界中に日本酒教育のための素晴らしいプログラムが存在していることも確かであり、優秀で献身的かつ情熱的な有識者たちの組織によって主宰されています。もしあなたがこの記事を読んでいて、まだ参加していないのであれば、そのうちの一つ、あるいはいくつかに参加すべきです。

試飲会やセミナーの冒頭では、何千年にも渡る日本酒の歴史が神話や伝説にどのように溶け込んでいるのか、そして何世紀にも渡り継承されてきた儀式や祝い事にどのように日本酒が織り込まれてきたのか、そして日本人が米の収穫の威厳を深く敬愛し、その結果として日本酒が地域社会の繁栄のための深い精神的な基盤を築いてきたことについて、司会者が数分間の時間を割いて説明をしてくれます。これまで何世紀にもわたって、こうした様々な営みが日本酒の個性や地域性を磨き上げ、地域の個性と、人々への発見を刺激し、日本酒ファンをとりこにしてきました。

しかし多くの場合、人間の経験の中心でもあるこの精神的でより個人的な魅力について簡潔に説明した後に、物理的または精神的で本質が取り除かれた情報の説明に脱線する傾向があります。日本酒業界全体としては、一般的に特徴的な何かを好む体質があり、確かにそれも魅力の一部であることは間違いないのですが、日本酒の地域特性を具体的なロードマップに落とし込む姿勢が足りておらず(もしくは無関心により)、世界で最も刺激的で美味しい酒類の一つであるにもかかわらず、知らず知らずのうちにその個性を活かしきれず永遠の迷宮に閉じ込めてしまったのです。

もし業界が、日本酒の世界観を表現する術として、現実と精神性を融合させるような発見の道筋を描きあげ、不変で永続的なるものを、ある種の初期の道標とすることにコミットするならば、日本酒の世界は根本から神秘的かつ現実的、具体的な説明方法を手に入れることが出来ます。そのためには普遍的な価値観に根ざした日本酒の「発祥の地」を明確に確立する必要があるのです。

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