Spiritual KANSAI シリーズブログ15 : 日本酒、その起源を訪ねて2

Spiritual KANSAI シリーズブログ15 : 日本酒、その起源を訪ねて2

2021.4.6

The KANSAI Guide

関西地域は日本の精神文化の聖地であり、正真正銘のおもてなしに溢れる関西。そんな関西を「Spiritual KANSAI」と題して、様々なテーマを抽出しコラムにまとめてみました。本ブログシリーズでは、それらコラムを順に紹介していこうと思います。シリーズ第15弾は、「日本酒、その起源を訪ねて2」をお届けします。(以下文章は本サイトのSpiritual KANSAI コラムページ(https://kansaiguide.jp/rt/column/)より引用しています)

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日本酒、その起源を訪ねて2 引用元

日本酒、その起源を訪ねて1のブログはこちら

関西は日本酒発祥の地であり、本当に素晴らしい価値を持っています。

その場所は奈良。明確に定義され、具体的で議論の余地のない日本酒発祥の地です。

1. 大神神社:日本酒の精神的な発祥の地。日本最古の神社。

2. 菩提山真言宗 大本山 正暦寺:現代の酒造りの発祥の地。

3. 菩提酛:現代の酒造りの祖先とされるだけでなく、日本全国の特定の地域(奈良)に関連した真に独創的な「スタイル」の酒造りの唯一の例と考えられる酒造りの方法。

4. 吉野杉:吉野町には吉野杉の広大な森があり、日本酒業界で唯一認められている木材資源と、それに付随して何世紀にもわたって吉野杉製の樽や貯蔵庫、道具を供給する工芸品の伝統産業があり、何百年にもわたって日本中に酒造りと発酵の習慣を浸透させ、維持し、進化させてきました。
まさにこれらは奈良だけにみられる特徴なのです。

例えばワインの神がいて、そこに近代的なワイン造りの発祥の地があり、間違いなく唯一決定的なワイン作りの方法が地域に根差しており、フレンチオーク樽と伝統的なワイン造りの道具が供給できる天然資源があり、日々の忙しい旅程の午後に平凡な光景へアクセスすることができるとしたら?それは、ワインの専門家やワイン愛好家にとって、紛れもなく魅力的な巡礼の旅となるでしょう。

それが奈良の日本酒なのです。半径約20kmの範囲内には、文化的、精神的、技術的に日本酒に関連するほぼ全てのものの具体的な礎石が存在しています。増え続け、進化し続ける語彙が、この素晴らしい飲料である日本酒のコミュニケーションを圧迫し、大金を投じたマーケティング・キャンペーンに誘発された飲み会のお酒として永遠の敗北戦を余儀なくされている現実とは異なり、奈良と日本酒の関係を定義する特徴は、日本酒の文化的、精神的なアイデンティティの基盤を表現しています。奈良には、日本酒の巡礼の最初の目的地となるために必要な全てのものが備わっています。それは、奈良が他の地域より「優れている」からではなく、日本酒を人間的、精神的な意義と結びつける上で、明確な意味があり、普遍的で揺るぎない本質に根ざしているからです。

奈良は日本で最もダイナミックで予測不可能な酒の生産地の一つであることは間違いないといえます。しかし、現代に通じる酒造りの発祥の地であるにもかかわらず、生産量や消費量、継続的な受賞歴、市場に出回っている「プレミアム」商品の割合など「一流の生産地」を特徴づけるために用いられる典型的な指標のいずれにおいても、実際には特に上位にはランクされていません。しかし、その一方で、奈良の蔵元たちは、いわゆる市場に反映される「現代的」な価値への期待を持っておらず、消費者の期待や金銭的な義務を押し付けている訳でもありません。この地では、表面的で一貫性に欠けているものは意味がなく無価値の海に投げ込まれます。「日本酒発祥の地」と言われる地域だからこそ、我々愛飲家にとって好奇心と可能性を刺激してくれる場所として存在しています。

地域(とその生産者)がその精神的・文化的な関連性に根ざしているということは、おそらく最もエキサイティングな飲料の風景と言えます。日本酒が、ビールやワインのように世界規模の文化的関連性を持つものにはまだ程遠いことを考えると、日本は、日本の価値と日本酒の価値を同期化するだけではなく、日本全国で日本酒の重要性に対して時を超えて貢献してきた場所を磨いてゆくために豊かな物語を構築する事が大切です。上記のような理由で奈良のような地域を際立たせることは、その地域の意義ある貢献を強調するだけでなく、他の地域を独自の条件で定義するための基盤を確立することにもなります。

奈良全体を酒の聖地として主張することの効果の一方で、そうすることで関西圏(と日本酒というカテゴリー全体)に大きなインパクトを与えることになります。なぜなら、奈良は、深い精神的・文化的な関連性を持つ拠点として確固たる地位を築いた「最初で」、「唯一の」資質の驚くべき集合地域であり、今日私たちが当たり前のように享受している日本酒の基礎を築いた初期の技術的な能力を表しているからです。

奈良県は、日本酒の長大で多様な物語から大きく取り残されることが多いですが、隣接する兵庫県と京都府は、地球上のあらゆる日本酒関連のカリキュラムで賞賛されていることは誰もが知るところです。実際に、この2つの地域だけで日本で生産される日本酒の40%以上を生産しています。そのため、現代の文脈では「大蔵元の故郷」と気軽に呼ばれることが多いですが、何世紀にもわたって深く定着してきた業界では、その存在感を確固たるものにするのは一朝一夕ではありません。兵庫と京都が何百年にもわたって酒造りの革新の温床であり、優れた酒を造るだけでなく、それをどうやって国民に届けるかということを全国的に見極めてきたからこそ、これらの地域が今日のようなパワープレイヤーとしての地位を確立したのです。

関西の豊かな歴史と文化的な要素は、他の地域を引き立たせるのに役立ちます。東北地方で造られ、賞賛されている日本酒は、単に品質が優れているだけではなく、それ以前に造られたものやその周辺のものとの関連においても、非常にユニークなものであることを忘れてはいけません。新潟、秋田、福島、山形、栃木のような地域が現代の文脈の中で成し遂げてきたことは、世界的に品質の真偽が見直されている中で、何世紀にもわたって関西で確立された基盤と積極的に結びついて磨かれました。そうすることで、どこでもより良い、より個性的で格別な日本酒が生まれるのです。

関西地域が将来の酒好きな人々のために、点と点を結びつけるために協力し合うことに力を入れれば、それぞれの地域が持っている歴史的根拠、正統性、品質、関連性、精神的な意義を高め、日本酒体験の生きた小宇宙が確立します。その仕掛け自体が日本酒の生産地全体を活性化するために必要な基盤となるでしょう。

そのためにも、まずは、「日本酒の故郷」への道を少しだけ進むことが必要なのです。

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